令和6~7年度 共同研究プロジェクト 研究報告③

キャンパスを飛び出して、地域へ。
人と出会い、暮らしに触れる初年次フィールドワークは地域理解の第一歩。
地域での経験がその後の活動や成長へとつながるプロセスを探る、稻留直子准教授の研究。
「域学連携を基盤とした初年次フィールドワークの教育的意義を考える」
稻留 直子 看護学部 准教授
看護教育とフィールドワーク
本研究は、看護学科の1年次に実施されるフィールドワークと、その後の地域活動やボランティア参加の状況をもとに、地域と連携した初年次教育の効果を検討することを目的としている。
看護学科では、地域で生活する人々の健康課題に主体的に向き合う看護職の育成を目指し、主体的な課題探究能力と問題解決力を重視している。1年次には「地域探索フィールドワーク」と「暮らし探索フィールドワーク」の2科目が配置され、地域の人々の暮らしや関係性に触れながら、看護の対象を生活者として総合的に理解する視点を養う。授業では、学生の「気づき」を重視した学習設計や対話を中心としたグループ活動、フィールドノーツによる振り返りなどが取り入れられている。
学生の成長と地域への広がり
学生の振り返りからは、地域での経験を通じて気づき、意味づけ、内面化、行動化へと学びが発展する過程が確認され、課題発見力や関係構築力、対話力といった看護探究能力の基礎が育成されていることが示された。また、地域側にとっても若い世代の視点による地域の再発見や地域活動の活性化といった効果がみられ、継続的な大学との連携につながっていることが報告された。
地域と大学をつなぐ教育
質疑応答では、学生全員が主体的に参加する授業運営の工夫や地域との継続的関係づくりについて議論が行われた。これに対し稻留准教授は、教員自身が学びを楽しむ姿勢を示しながら学生の状況に応じて授業設計を柔軟に調整していること、また同じ地域への継続的な訪問を通じて地域側の理解と受け入れが深まり、新たな地域からの参加希望も増えていることを紹介した。初年次フィールドワークは、その後のゼミ活動や卒業研究へとつながる基盤的学習として、地域と大学を結ぶ重要な教育実践であることが示された。


