良いチームはどう作ればいいのか?

令和6~7年度 共同研究プロジェクト 研究報告①

大学教育でのグループワークにおけるチーム設計の効果を検証した樋口晃太講師の研究。

性格も個性もバラバラだからこそ生まれるアイデア。
大学のグループワークで探る、創造性と効率を最大化するチームづくりのヒント。

チームの多様性と同質性がフィールドワークに及ぼす影響

樋口 晃太 経済学部 講師

グループワークのチーム設計に着目した研究

本研究は、大学教育で広く実施されているグループワークにおけるチーム設計のあり方を検討するものである。文部科学省の全国学生調査では大学生のグループワーク経験率は96.6%に達し、発表者による調査でもPBLやフィールドワークでの経験率は70.7%と高い。一方、チーム編成は教員指定や学生の自由な組み合わせ、ランダム決定が中心で、性格や能力など客観的基準を用いた設計は1割未満にとどまるという課題が示された。

多様性チームと同質性チームの比較調査

研究では企業のダイバーシティ経営の考え方を参考に、鹿児島県の事業「ふるさと水土里の探検隊」と連携し、経営学科2年生31名を対象に実験的調査を実施した。MBTI(16Personalities)診断を用いて、性格タイプの異なる学生で構成する「多様性チーム」と、類似タイプで構成する「同質性チーム」をそれぞれ3チームずつ編成し、フィールドワーク後にグループインタビューと個別インタビューを行った。

創造性と効率性、それぞれの特徴

調査の結果、多様性チームは多様な意見が生まれ創造性が高く評価された一方、議論が拡散しやすく効率性が低下する傾向が見られた。これに対し同質性チームはコミュニケーションが円滑で作業効率が比較的高いものの、同調圧力や進捗管理の不足といった課題も確認された。発表では、性格にもとづくチーム設計は教育効果を高める可能性があり、多様性チームでは役割分担の明確化、同質性チームでは進捗管理や目標設定が重要であるとの示唆が示された。

今後の研究課題とチームダイナミクスの分析

質疑応答では、教員の指導スタイルがチームに与える影響や、グループ活動を通じた性格変化の可能性、MBTI診断の科学的妥当性などが議論された。これに対し樋口講師は、MBTIの理論的背景については今後さらに慎重な検討が必要であるとしたうえで、チームダイナミクスの動的分析や実験条件の精緻化を今後の研究課題として挙げた。今回の研究は、大学教育におけるグループワークのチーム設計を再考する重要な知見を提示するものとなった。

樋口 晃太  HIGUCHI Kota

経済学部 講師

専門分野・研究キーワード

経営学・競争戦略、企業の社会的責任、ソーシャルプロダクツ

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