人口減少の最前線・鹿児島から問う“稼ぐ地域”はどう創るのか

令和6~7年度 共同研究プロジェクト 研究報告

人口減少が進むなかで、地域経済はどのように持続していくのか。
鍵となるのは、地域の外から所得を獲得する力と、地域の中で所得を循環させる仕組みである。
平出宜勝准教授は、鹿児島をフィールドに、理論分析・統計データ・企業へのフィールドワークを通して、持続可能な地域経済の条件を明らかにする。

「鹿児島から考える持続可能な地域経済」

平出 宜勝 経済学部 准教授

縮小する社会で、地域経済は続くのか

本研究は、人口減少が進む地域において持続可能な地域経済をどのように構築するかを検討するものである。鹿児島県は1985年に人口のピークを迎え、その後減少に転じた全国でも早い地域の一つであり、人口減少社会の先行事例として位置づけられる。研究では地域経済学の基本理論である経済基盤説を出発点に、理論分析、統計データによる実証分析、企業へのフィールドワークを組み合わせて地域経済の持続性を検討した。

輸出は雇用を生むのか

分析では、県外から所得を獲得する基盤産業と地域内需要を担う非基盤産業の関係に注目した。鹿児島県のデータを用いた計算では、基盤産業の雇用が1人増加すると地域全体で約7.46人の雇用増加が生じるという経済基盤乗数が示され、域外需要の重要性が確認された。一方で、2007年から2021年の都道府県データを用いた実証分析では、輸出と雇用には正の相関があるものの、輸出増加が直接的に雇用を生み出す因果関係は統計的に確認されないことも明らかとなった。

現場に見る「外で稼ぐ力」と「地域で回す仕組み」

フィールドワークでは、垂水市の養殖企業GLOBAL OCEAN WORKSや日置市の嘉之助蒸溜所、焼酎ツーリズム、ECサイト「かごしまぐるり」などの事例が紹介され、地域外で稼ぐ力と地域内で所得を循環させる仕組みの双方が地域経済の持続性に重要であることが示された。

持続可能な地域経済モデルへ

質疑応答では、地域企業の輸出や域外販売の実態が自治体レベルで十分に把握されていないという課題が指摘された。これに対し平出准教授は、大学の研究やゼミ活動を通じて地域企業の実態を調査し、産業の強みや課題を明らかにすることが地域政策の基礎資料として重要であると説明した。今後は、域外需要を獲得する地域産業の育成と地域内での所得循環の仕組みづくりを進めることで、人口減少社会における持続可能な地域経済のモデル構築を目指していく。

平出 宜勝  HIRAIDE Norikatsu

経済学部 准教授

専門分野・研究キーワード

国際貿易論・海外直接投資・地域経済、国際貿易や海外直接投資が地域経済に及ぼす影響

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