特集:AI時代、地域はどう変わるのか― 鹿児島から始まる、地方私立大学が挑む6つの研究

デジタル技術と地域社会~地方私立大学による地域貢献~

令和8~9年度 共同研究プロジェクト紹介

「ロボット」

という言葉が生まれた100年前から、人は技術と仕事の関係を問い続けてきました。
AIが急速に広がる現在、その問いは地域社会にも及び始めています。

離島を抱え、高齢化が進み、多文化共生の課題にも向き合う鹿児島。
この地域ではいま、教育、保育、伝統産業、地域コミュニティ、健康づくりなど、私たちの身近なところで、AIやデジタル技術の活用が始まっています。

AIは、人の仕事を単純に「代替するもの」として語られることがあります。
しかし一方で、新しい技術はこれまでも、新たな仕事や役割、価値を生み出してきました。

では、AI時代に地域社会はどう変わるのでしょうか。
そして、地域に根ざす地方私立大学は、どのような役割を果たすことができるのでしょうか。

本プロジェクトでは、「デジタル技術と地域社会~地方私立大学による地域貢献~」をテーマに、経営学、地域福祉、学校教育、保育、日本語教育、公衆衛生看護学といった多様な分野から、AIの導入がもたらす変化と課題に取り組みます。

6名の研究者がそれぞれの専門領域から実践的な研究を展開し、鹿児島という地域をフィールドに、新たな知見の創出を目指します。

6つの研究テーマ

中西 孝平 教授
中西 孝平 教授

伝統産業 × DX
 大島紬はデジタルで生まれ変わるのか― 伝統産業におけるDXと「価値の再定義」

1300年以上の歴史を持つ大島紬。
しかし今、和装文化の変化や職人不足のなかで、その未来が問われています。
デジタル技術は、伝統産業を単に効率化するためのものなのか。
それとも、技術継承や新たな価値創出につながるのか。
大島紬産業の現場を通して、“伝統を守るために変わる”という挑戦を追います。

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 ▶なぜ今、大島紬にDXが必要なのか

川﨑 竜太
准教授
川﨑 竜太 准教授

地域社会 × 関係人口
 「関わる人」をどう増やし、つなぎ続けるか― 関係人口とデジタル技術がひらく地域マネジメント

人口減少や担い手不足が進む中注目されているのが、移住でも観光でもない、新しい地域との関わり方――「関係人口」です。
本研究では、福祉事業所と地域住民をつなぐ「スケッター事業」などを通して、デジタル技術を活用した新たな地域参加の仕組みを探ります。
“地域とゆるやかにつながる人”をどう生み出し、支え合いの地域づくりにつなげていくのかを考えます。

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 ▶ 福祉×デジタルで、地域参加はどう変わるのか

辻󠄀 慎一郎


准教授
辻󠄀 慎一郎 准教授

教育 × AI・DX
 離島の学校はAIでどう変わるのか― 学校DXがひらく新たな学びのかたち

「先生が足りない」
「研修に行くだけで20時間以上かかることもある――」
広範囲に離島を抱える鹿児島県では、教育環境の“距離”が大きな課題になっています。
教員不足、複式学級、小規模校運営。
そうした現場で、学校DXや生成AIは何を変えようとしているのでしょうか。
離島だからこそできる、新しい学びと学校づくりの可能性を探ります。

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 ▶ AIは離島教育をどう変えるのか

福島 豪  准教授
福島 豪  准教授

保育 × 生成AI
 保育の現場で、AIはどのように活用されうるのか― 生成AIの活用実態から考える保育の専門性

保育の現場でも、生成AIの活用が始まっています。
行事の企画、おたより作成、遊びのアイデア提案――。
AIは保育者の負担を軽減する可能性を持つ一方で、「専門性の在り方とは」という問いも生まれています。
AI時代に、保育者だからこそ担える役割とは何か。
現場の実態調査を通して、これからの保育のあり方を考えます。

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 ▶ AI時代に、保育の専門性はどう変わるのか

山川 仁子
 教授
山川 仁子 教授

多文化共生 × デジタル支援
 地域で増える外国人住民 “言葉の壁”をどう超えるか― デジタル技術を活用した、新しい日本語支援

鹿児島ではいま、外国人住民なしでは地域の仕事が成り立たない現実が広がっています。
介護、農業、食品加工、コンビニ――。
地域を支える存在となる一方で、病院や学校、役所では“言葉の壁”が大きな課題になっています。
翻訳アプリや生成AIは、人と地域をつなぐ力になれるのか。
多文化共生社会に向けた、新しい日本語支援のあり方を探ります。

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  多文化共生を支える新しい日本語支援とは

稻留 直子 准教授
稻留 直子 准教授

健康 × データ活用
 数字の陰に隠れた、見えない健康格差― データと住民の声から、地域の健康を見つめ直す

健康は、暮らしの中でつくられる。
移動の不便さ、孤立、仕事、地域とのつながり――。
暮らしを取り巻く環境そのものが、人々の健康に大きく影響しています。
しかし、そうした地域内の差は、「市町村全体の平均値」の中に埋もれてしまうことがあります。
GISや多元的データを活用しながら、“見えにくい健康格差”を可視化する。
データと住民の声から、地域の健康を捉え直す挑戦です。

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 ▶ 見えない地域の健康課題とは


― 分野を越えて見えてくるもの

これら6つの研究は、それぞれ異なる分野を扱いながらも、共通して「地域における実践」という問いに向き合っています。

AIやデジタル技術は、単に人の仕事を置き換えるものではありません。
地域の中で、新たな役割やつながり、支え合いの形を生み出す可能性を持っています。

一方で、どれほど技術が進化しても、人の思いを汲み取り、地域の実情に寄り添いながら支援を行うのは、やはり人間です。

伝統を受け継ぐこと。
子どもの学びを支えること。
地域で暮らし続けること。
誰かとつながり、支え合うこと。

AI時代に問われているのは、技術そのものではなく、「地域で、誰と、どんな未来をつくるのか」という問いなのかもしれません。

6つの研究は、それぞれの現場で何を問い、どのような変化を生み出そうとしているのでしょうか。
鹿児島から始まる実践的な研究を、ぜひ個別記事でご覧ください。


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